ふぅ、と息を吐いて、ズガンズガンと馬鹿みたいに痛みだした頭に再び吐き気をおぼえながら、ふと自分のついた手元に目が行った。
(へ……)
そこにあったのは、紛れも無くあたしが実家から持参した横長のでかい目覚まし時計。
さっきの『鈍器』は恐らくコレと思われる。
(なぜならひっくり返って捨てられたようにここにあるから)
そして
衝撃的なことに。
文字盤が割れていた。
「っのやろ………」
ぜ っ た い 殺 る … !
未来的デザインのかっこいいそれは、割と高かった。
そしてお気に入りだった。
そして、その形態から納得のいく馬鹿でかすぎる耳をつんざくようなアラーム音も。
ちなみに、これ以外の目覚まし時計で起きれた試しがない。
寝起きが悪いあたしは、その音を理由に何度となく朝から自分の気分を害してくれるこれを壁に投げてやろうと理性と葛藤してきたというのに。
それを意とも簡単にこんな…!
「ごめんな~」
目覚まし時計にほお擦りする。
(衝撃を与えすぎて頭がおかしくなったのかもしれない)
―――――――次の瞬間。
ジリリリリリリ
容赦なく耳元で鳴ったそれに、出かけた涙も引っ込んだ。
かろうじて読みとれる文字盤とその音からして、多分時計は機能しているらしい。
「よかった!」


