ファーストキスは蜜の味。


あいかわらず先生モードだと、髪がボサボサでぼんやりしてるイメージが強い。


あたしの姿をみて、恭兄は眼鏡をかけたまま、にこりと笑った。

「くると思ってたよ」

とろけるような笑顔とは裏腹に、意地悪そうな口。


「携帯、返してください」

あたしはひるむことなく、立ち向かった。


余裕な態度の恭兄は、あたしをみても表情一つ変えることなく近づいた。


上着のポケットからとりだしたのは、見慣れたストラップのついた…

「あたしの携帯…っ!!!!」

「おっと」

油断してる隙に奪おうとしたのに、あっけなく遠ざけられた。



ちっ…
――…失敗っ。