「はいはぁーい、ウタでぇーす」 「…マヌケな声」 「げ…っ」 電話口から聴こえたのは、恭兄の呆れた声。 メールもそうだけど、いつのまに番号知ったのよ!!! 「……なんか用ですか? ――…羽深センセイ」 あたしはわざとらしく、センセイ、を強調した。 怒ってるんだからね、って態度でね。 電話口ではわからないように、イーッと歯をむきだしにするオプションまでつけて。 「いうようになったね、詠葉」 …だって、いまはセンセイと生徒。 それ以上、かかわって欲しくないもん。