「うっ、ひぅっ、ふぇ……っ」
あたしは部屋からでるなり、涙がこらえられなくて走りながら泣いた。
さいわい夜だから、他にお客さんはいない。
どうしよう…
きっと化粧もぐちゃぐちゃだ。
どうせ、おこちゃまなあたしが化粧したって、背伸びしてるようにしかみえないだろうけどね。
トイレでクラスメイトとばったり!!ってことにならないように、あたしは店の外にでた。
脇にそれると駐車場があり、そこの壁にもたれるように息をついた。
なんで、あんなことするの?
あたしにとって、キスも、それ以上も、なにもかも特別なのに。
なんで――…
あたしから大事なモノを奪ってくの?
からかわないで…
もう、ほっといてよ。
羽深、センセイ――…

