ファーストキスは蜜の味。


「詠葉」

「――っっ」

低い声が、耳元に響いた。

甘くささやく声。



恭兄の前髪が鼻に触れて、ゆっくりと顔が近づいた。

布越しに感じる引きしまった体を、ぎゅっとつかんだ。


「昔できなかったぶん、時間かけてゆっくりしつけてあげるからね。
――…カワイイ、カワイイ、俺のペットちゃん」

「……へっ!!?」

なんであたし、ペットなの!?


恭兄の野獣のような瞳に、体がかたまった。



い……っ

イヤだぁぁぁぁーーーーっっ!!!!