最悪な思い出。 できるなら、もうかかわることなく大人になりたかった。 「詠葉の唇、やっぱやわらかくておいしいね。 …クセになりそうだ」 セクハラ発言。 あのときと、ちっとも変わってない。 恭兄にとって、キスは特別でもなんでもないんだもん。 「詠葉」 「きゃっ!!?」 逃がすことを許さないように、抱きしめる大きな腕。 ――…あのころよりもたくましい。