ナニ、コレ? 恭兄が、目の前にいる。 いつも意地悪な目が、静かに閉じられていた。 意地悪をいう口で、ふさがれてる。 「んっ、ぅ」 力が抜けた。 膝からガクッと落ちそうになったのを、恭兄の腕が支えた。 そのまま背中に壁を押しあてられ、かぶさるように唇が乗せられている。 「んぅ、はぁっ」 ようやく息ができて、肩を揺らした。 「口止め料」 にかっと笑った恭兄は、意地悪で――… 知らないヒトみたいに笑った。