「ウタはコイツでいいのか?」 えっ… イイもなにも、あたしにはなにがなんだか…… 目を丸くしてみてると、恭兄の手が頭をなでた。 ――…いや、叩いたのか? さすろうと頭に手を乗せると、恭兄の手に包まれた。 「まえ話した僕の忘れられない人は、詠葉だから」 「……えっ?」 聞き間違い? また都合イイように聴こえる幻聴? ヤバイね、来週あたり病院予約しとこうかな。 陽クンも幻聴と思ったのか、目をパチクリさせてる。 わが兄ながら、カワイイなぁ。