「身代わりってなんだよ」 「……だって…… ――…いままでの彼女って、忘れられない人の身代わりなんでしょ?」 「そうだけど」 「だったらあたしは身代わりにはなれない。恭兄の全部が欲しいの」 独占欲のカタマリが爆発しそう。 どんなに過去の女がいようと、あたしは恭兄の全部が欲しい。 比べられるのは絶対にイヤ。 だって好きになったなら、そう思っちゃうでしょ? 恭兄は抱きしめる腕を離した。 触れていた肌に風がとおり、寒気を感じさせる。 そして――… 「バァーカ」 と呟いた。