耳にかかるほど近い恭兄の口に、ドキドキ鳴る。 意地悪さは残ってるものの、いつもより数段優しさがあるのは……なんで? なんていうか、女の子として扱われてる感じ。 くすぐったくて身じろいでも、離してくれなかった。 肝心なところはいってくれない。 あたしなの?ってうぬぼれても、真実が違ったらあたしは立ちなおれない。 いまこうして優しくしてくれてるのが心地良くもあり、気色悪くもあるわけで…… 「身代わりは、イヤだよ」 あたしはそう口にしていた。