あたしも幼いながらに、恭兄の事情がわかってて、家に入り浸っていたのかもしれない。 そういえば恭兄が泣いたところって、みたことないや。 ムリ、してたのかな… 園児バッグと帽子をリビングに置いて、きょろきょろとあたりをみまわした。 「恭兄ちゃん?」 いない、ということはないはず。 根拠のない確信で、あたしは一階をくまなくさがした。 下にはいない。 あたしは二階にある部屋まで押しかけた。