首筋にうめた顔が動きを止めた。 「そうだな」 すっと離れる体。 名残惜しいって感じるのはあたしだけみたい。 そう思ったら、無性に笑えてきたよ。 「あはは、彼女のこと大事にしなきゃダメじゃん。 忘れられない人がいても、身代わりにしてたら彼女がかわいそうだよ」 「……誰にきいた」 ギクッ そうだった。 恭兄本人からきいたわけじゃないんだった。 あたしは視線を宙に浮かせた。