恭兄は安全運転第一、って感じにゆっくり運転中。 サングラスを外した、オフモードの横顔に、キュンッてなる。 一挙一動、胸が反応しちゃう単純な心。 恋って臆病になるみたい。 スキっていえなくて、それでも相手の行動に胸が鳴るのをやめられない。 たとえ相手に彼女がいても――… 恭兄はシフトレバーを握ったまま、あたしに近づくことはなかった。 期待してるわけじゃないけど、さっき握った手が遠くて、少し寂しい。 信号が赤になり、停止線でブレーキを踏んだ。 「悪かったな」