ファーストキスは蜜の味。


あたたかい感触に、ゆっくりと睫毛を伏せた。

このまま大地の優しさに甘えて、肩の重さをすべてとりのぞけたら、どんなに楽だろう。

大地に癒されながら、一樹やユウちゃんと遊んで――…



未来のない、恭兄を選ぶということ。

もし恭兄とつきあうことになっても、結局はみえない“忘れられない女”っていうのに嫉妬する。

浮気もされるんじゃないのかな。

みた目イイから、モテるもん。

あたしは都合のイイ女で、他の人も”忘れられない女”の代わり。


『忘れさせてやる』


そういえた大地が、すごいと思う。

あたしは恭兄に、そんな台詞いえないよ……
――…自分に自信がないから。



触れた恭兄のあたたかさが、胸をしめつける。

スキって気持ちが、独占欲を強くする。



こんなに想ってても、あたし――…



恭兄を忘れられる?