ファーストキスは蜜の味。


それに、って言葉を続けると、サングラス越しに笑ったのがみえた。

「詠葉がいきたそうにしてただろ」


そりゃそうだよ…
――…恭兄と二人でいきたかったんだもん。


「……断ったじゃん」

「あぁ、からかいたい衝動にかられてな。
――…詠葉の泣きそうな顔、クセになる」


鬼畜っ!!

サドっ!!!!

やっぱりあたしをからかうのがスキなんですね!!!!



「きて欲しかったんだろ」

「――っ!!」

優しく包むように握られた手。

不意打ちの優しさに、視界が揺れた。



握られた手が熱くなる。

イルカなんかみてる余裕はない。


隣にいるってだけなのに、涙が頬をつたって流れた。