ファーストキスは蜜の味。


「おばちゃん、なんか残ってナイ!?」

突進するイキオイでつめよったせいか、おばちゃんはビックリ顔でしばらくかたまった。


「ごめんね、今日はもう売り切れちゃったよ」

やっぱり…
今日は食運がないのかな。


がっくり肩を落とすあたしに、おばちゃんは何度もごめんね、っていってくれた。

少しでもお腹いっぱいになりたくてイチゴミルクを買うと、飲みながら廊下を歩いた。


さっきはお昼のことで頭いっぱいだったけど…
――…食堂までの道って、国語教師室通らなきゃいけないんだよね。


チクンッ



胸が、イタイ……



胸の痛みを隠すように、制服のリボンをぎゅっと握った。


――…ダイジョウブ、ダイジョウブだから……


呪文のようにいいきかせる。