「次の問題、若林」

「ふ、ぇっ!?」


なんともマヌケな返事が教室に響いた。

それと同時に、クラス中が笑い声に包まれる。


「ウタ、寝てたのか?」

「あいかわらず、ボケてんなぁ」

「うううう、うるさぁぁーーーいっっ」


ぼんやりと、恭兄をみてました、なんて口が裂けてもいえない。

ましてや恭兄本人には、肯定してるところをみられたくないデス。


「若林。
――…はやく前きて問題といてください」

「はいはぁーい」


あたしはしぶしぶ立ちあがると、一番うしろの席から黒板までの長い距離を歩く。

足が一歩、また一歩と近づくたび、心臓がドクンッと音をたてる。