ファーストキスは蜜の味。


体を伸ばして、疲れを吹き飛ばそうとした。

離れた席から、犬のように小走りに一樹がよってきた。


「祐子ぉー」

「一樹、ちゃんとできた?」

いつもとおなじような雰囲気の二人をみて、あたしはほっとした。

うまくいったんだな、ってみてすぐわかる。


よかったね、一樹、ユウちゃん。



一樹はユウちゃんに頭をなでてもらうと、くりんっとクラス全員のほうに向いた。


「今日打ち上げやるヒト、この指とーまれっ」

「はいはーいっ」

「俺も」

「わたしも」

「って指とまりきれねぇじゃん」


笑いながら、満員になった指を一樹はふり払った。


本当おバカだけど、クラスのムードメーカーなんだよね。

黙ってればちょっとはカッコイイのに。