ファーストキスは蜜の味。


「どうしたの?」

「ううん、なんでもナイ。
――…次どこいく?」


あたしはウソをついた。

なんでもナイなんて、ウソなんだよ。


でも大地に心配かけたくない。

優しい大地は、それ以上なにも聞かないでくれた。


「カラオケでもいく?」

「げっ、カラオケ?」

つい顔をしかめた。

大地がその顔をみて、なにかに気づいたようだ。


「ごめんね……
女の子と密室なんて、信用ないよね」

しゅんっと肩を落とした大地。

こんなあたしを女扱いするなんて、本当モテ男のすることは違うな。


「そうじゃなくてね、あたし音痴なの」

あはは、と笑ったけど、笑えない?



名前が“詠う葉”なのに、音痴なんて……