ファーストキスは蜜の味。


さっさと着替えてきたあたしは、本に値札ラベルを貼り始めた。

早番と遅番は、一時間だけかぶってシフトが組まれているため、いまは四人で仕事中。

大地は本棚の空き具合をみに店内を巡回中で、遠藤さんは店内掃除。


足元には、あいかわらず本を読む野久保さん。


「そんなにおもしろい本なんですか?」

はたからみたら、ひとりごといってるイタイ子にみえるのかな。

レジ下に人がいるなんて、誰も思ってないみたい。


「おもしろいよ」

本から離すことなく、字を追う目。

そんなにおもしろい、なんていわれたら、気になるじゃん。


「どんな話しですか?」

「……純愛」


ぷっ…

あたしはついふきだした。