儚い夜の唄



「…って訳でキャンプに行く事になりましたー!」


携帯を閉じてから、私は向かいに座っている千晶に笑顔で報告をする。

カフェの2人用のテーブルに頬杖を付きながら、気を利かせて黙り込んでいた千晶は、自分の事の様に嬉しそうに笑い返してくれた。

私の元からの栗色の髪と違い、千晶の髪は染め直したダークショコラ。
髪型も似ていれば顔も似ていると私の母親にまで言わせたその表情は、私とは違ってかわいらしさが滲み出ている。

「もしかして…キャンプの時しか会えないって人と会うの?」

「うん!去年は私がダウンしちゃって会えなかったから…2年ぶりなのかな」