初仕事から三日後の十一月二七日。



修に回ってくる仕事は予想以上に少ない。優次には日に一回仕事が入るが、こちらに回ってくることもない。おかげで留守番が修の仕事になっている。


修はこの世にはいないことになっており、下手に外に出ることができない身分。最近ではニュースに挙がることが少なくなってはいるが露出は限りなく避けたいのが優次の考えだろうか。



昼まで事務所で二人でのんびり過ごす。ひとつ屋根の下で暮らしていくうちに何となくではあるが優次のことが分かりつつある。




好きなものは納豆。しかしご飯以外にかけることを嫌う。嫌いなものは甘いもの。これはチョコレートはかなり好きだが、それ以外はあまり好む傾向はない。和菓子はほとんど駄目なようだ。



――これでは彼の世話人ではないか。



これでは駄目だというのは分かっているが、ここを飛び出しても行く宛てがない。唯一あるとすれば沙良のコンビニではあるが、仕事で接点ができただけの関係では行く宛てというレベルではない。結果的にここに留まる以外修には選択肢はないということだ。



テレビを見ながら食後のテレビを見ていた時、事務所の電話が鳴った。すぐに修が電話に出る。



「もしもし。朱谷探偵事務所です」



『こちらは円谷警察署です。朱谷優次さんは御在宅でしょうか?』



相手が優次に用があるというのですぐに優次に引き継ぐ。



「変わりました。朱谷優次です。――はい。――分かりました。すぐに向かいましょう」



受話器を置くなり優次は黒のジャケットを着て外出モード。しかし、すぐに出ようとせず少し考えている。