それを知っていたシュホの友達は口々にこう言いました。

「その花びらでずっと夜をすごしてるけど、それじゃあシュホはカゼにのれないよ?」

ヒメルが川に花びらを浮かべて眠っているとカゼがやってきます。

そのカゼはときどき、花びらとヒメルを 空にはこんでくれるのです。


そのなんと心地良いこと。


ただ、カゼはヒメルと花びらの大きさや重さ、 かたちのあんばいがよくないと空にはこんでくれません。

ヒメルはそのために新しい花びらを見つけようとします。

「あたしはカゼにのるとしたらやっぱりこの花びらと空へいきたいの。
どんな花びらと空にいくよりもきっと心地よいもの。
それにカゼにのることも憧れるけど、この花びらの上で素敵な香りに包まれて星を見ながら眠れることが大切だとも思えるし。」

シュホはそのたびにこう答えていました。

ときどき散歩していると素敵な花に出逢いますが

やっぱりあの淡い水色のきらきらした花びらを 川に浮かべて眠るのでした。


この日は

「明日はうつぶせになって  抱きつくように眠ろう」

なんて考えながら眠るのでした・・・。