天才少女の育て方

公園の様子は、さっきとはガラリと変わっていた。

記者や近所の人たちが集まり、ドヤドヤしていた。

その中に、スーツ姿でサングラスをかけた、怪しい男たちが雫を捕まえている。

雫は、上からシーツをかぶせられ、両手両足をロープで縛られていた。

「雫ーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

ヨクは、ありったけの声で叫んだが、それはあっと言う間に人混みの中にかき消されてしまった。

すると、身動きが取れない雫が、あの男たちに抱えられヨクの方へ向かってきた。

ヨクの背後には、なんとヘリまで用意されていたのだ。

(雫を取り戻すのには、いいチャンスかもしれない)

ヨクはそう思い、雫がヨクの横を通り過ぎる瞬間に跳びかかろうとしたが、思わず出した手を引いてしまった。

雫がシーツの中から顔を出し、ヨクに呟いた。

一瞬だったから、なんて言ったのかはっきりは分からなかったが、
ヨクには、こう聞こえた。








"絶対戻ってくるからね。"