天才少女の育て方

あそこ・・・・。

それは、小さい頃に、聡子ちゃんとよく遊びに行っていた、公園だった。

「昔と、全然変わってないね・・・・」
聡子ちゃんが言う。
本当に変わっていない。

「やっぱりさ、田舎っていいねっ。ヨク君ところ、どう?」

「うん・・・・まぁ、いいかな。時々田舎に来ると、気持ちがスカッとするね」
「でしょっ!あたし、ここ大好きだよ!」

すると、近くの木に一枚のチラシが貼り付けられている。

もしや・・・・と思ったが、その予想は的中した。
こんなに平和な田舎にまで、こんなチラシを貼らせるのか。

すると、それに気づいたように聡子ちゃんが聞いてきた

「あ。そうそう。その子・・・・・ヨク君の所にも貼ってある?」
「もちろん。大量にあるよ。」

「なんか・・・・さ。可哀そうだよね。神宮司グループって、噂によれば、天才児を実験台に使ってるらしい。キツイ訓練とか・・・・。ヤバいよね。あの子が逃げたのも、無理ないよ」

聡子ちゃんは、雫の味方かも・・・・と、うっすら思ったり。

「もし、聡子ちゃんが、その女の子を見つけたら、助けるの?」
「どうかな。」

・・・・・・・・ですよね。

頭の中に、ふとよみがえる雫との思い出。

ある夏の日。あれは、運命のような出会いだった。

なにかと、一緒に居ると落ち着いてしまうのだ。

でも、彼女が追われ身と知り、毎日が苦しかったな。

それでも、一緒に居たかったから・・・・・・・

「ヨクく・・・・・・・「ごめん。その子の話、辞めない?」

ヨクは聡子ちゃんの言葉を遮るように言った。

「あっ、うん。そうだね」

もう、思い出さないようにしてた。

でも、デカデカと雫の顔が映っている、そのチラシを見るたび、思い出してしまうのだ。

彼女との、思い出を。

彼女の、笑顔を。

今、雫はどうしているのだろうか。