雫の目が、赤かった。
頬には、一粒に涙が つたっていた。

そして、今にも消えそうな声で呟いたのだ。
「ヨク・・・・ありがと。」

「え?俺、何もしてな・・・・・」

「名前・・・・で、呼んでくれてた・・・・。雫って・・・・」

今まで、コード番号で呼ばれてきた。
誰も「雫」って呼んでくれなかった。

親から呼ばれた覚えすらない。
だって、気付いた時には、籠の中に入れられてたのだから――。

「そんな・・・・。いいよ、いいよ、泣かないで?」
ヨクは、優しく雫の頭を撫でた。

「そういえば、雫。さっき神宮司グループから来たって言ってたよね?」
「うん。」

て、ことはだ・・・・・・・・・
コイツ・・・・・・見た目はチビだけど、めちゃくちゃ頭良くて、運動できて、天才児ってことだよな!?そうなるよな!?

「ちょっと・・・何見てんのよ。あんまり見られると、気持ち悪いじゃん。」
「・・・・ってか、雫泥だらけじゃん!」

「うん。」
「ちょ・・・うちの風呂場貸すよ!」

結構気がきくんだね。

「いいの?ありがとう」