「あそこ、よくない?」

雫が指差した先には、小さな公園があった。

「ホームレスみたい」
「ホームレスだもの」
「・・・・・。」

2人は、そこに座り込んだ。

「ヨク。怪しい人が来たら、(雫とは無関係です)みたいな仕草をしてくれない?」
「え!」
「だって、ヨクまで狙われちゃうよ?」
「・・・・・。分かった。」

ホームレス生活は、まだ始まったばかりなのに、もうくたびれてきた。
暇すぎるのだ。

「雫、どこかに遊びに行かない?」
「・・・・・・・・は?今何やってるか分かってる?」

「ごめん。」

その時だった。
ヨクのお腹から・・・・・・

"ギュルルルルルルルル・・・・"

「もうお腹空いたの!?」
「ご・・・・ごめん。」

雫は、持っていたリュックを探ると

「ん。」

一切れのパンをヨクに手渡した。

「雫、食べ物持ってきたの?何も食べないんじゃ・・・・」
「痩せるのは、一人で十分。それに、よその子を勝手に栄養失調なんかにできないしね」

「雫・・・・」

ヨクはちょっと、ためらったけど、一気にパンにかじりついた。