「それは、うん。でも、悔しかったよ」
「ああ、うん、そうだよな」
「高瀬くんは? 確か、バスケだよね」
「あー、一応、次準決勝」
「そっかぁ。さすが、引退しても部活やってるだけあるよね、体力は衰えてないんだ」
「まあね。大学は推薦もらってるし、逆に放課後何していいかわかんなくて。っていっても、部活は二年がメインだから端でちょっと参加させてもらうだけなんだけどね」
はは、と苦笑する高瀬くん。
それだけ今まで部活に精を出していたという事なのだろう。
「多分、準決勝午後一だからさ、よかったら応援してね」
そう高瀬くんが期待を込めた目を向けてくるものだから、
「あ……うん、救護の方もあるから、行けたら、ね。えっと、じゃあ私、佑美達待ってるから教室行くね」
曖昧に微笑んで、逃げるように高瀬くんから離れた。
罪悪感でどうにかなりそうだ。
この間高瀬くんに告白されて、その返事をまだ伝えていない。長引かせればそれだけ期待させてしまうと分かっているのだけど、いざとなると言いにくい。
溜息を吐きたい衝動を抑え、重い足取りで教室に向かった。

