「申し訳ございません。」

 円心はそう言って深々と頭を下げた。

「和尚様は、さぞお怒りのことでしょう。」

 竹ぼうきを持つ顔が一瞬くもったが、円修はそれには答えなかった。

「まぁ、とにかく中へ入れ。疲れもたまっているだろう。」

 そう言って、円心の肩を押して寺の中へ入れた。円心の帰りを知った他の弟子たちも、一様に再会を喜んでくれた。円心はなつかしいやらはずかしいやらで、それぞれに成長している弟弟子たちと話を交わした。だが天寿和尚の姿が見えない。