自分探しの旅

「実は・・・」

 円心は自分が見たものを言おうとして、言葉が浮かばなかった。思いついたように腰に巻き付けていた巾着をほどき、中から筆と和紙を取り出すと一筆したためた。


いさりびの

 あかきみたまに

 ひとのよの

 ともというべの

 あそのいでたち


 円心は黙ってそれを無雲に差し出した。無雲はその歌を見ながら瞑目した後、何度もうなずいた。