今から五年ほど前、京介が大学を卒業してすぐ会社に勤めだした頃、友人の薦めで一軒家に四人で住むことになった。その中の一人に当時はまだ無名の龍仁がいた。
寝食を共にした仲間―京介には、龍仁に対してそうした親近感があった。それと同時に年が三つしか離れていないのに、どこかしら世俗離れしたような風格を漂わせていた龍仁に、友人というよりも「師」としての尊敬の念を抱いていた。
京介は最近、お笑い系のバラエティー番組にスプーン曲げのゲストとして出ている龍仁を見て思った。
『こんなスプーン曲げなんかくだらない・・・』
少なくとも京介から見れば、龍仁のスプーン曲げは正真正銘の超能力であった。それだけにマジックのような人を楽しませる劇的な曲がり方はしない。ほんの申し訳ない程度にしか曲がらない。だがマジックではない。見方によってはすごいことなのだが、ただの受けねらいの番組では、本物かどうかなどということは二の次だった。
なのに龍仁は本物であると主張する。それは滑稽ですらある。京介はそんな龍仁を見ていて歯がゆい思いだった。
『龍さんならスプーンどころかその気になればもっとすごいところを見せられるのに、なぜ見せないんだ?』
寝食を共にした仲間―京介には、龍仁に対してそうした親近感があった。それと同時に年が三つしか離れていないのに、どこかしら世俗離れしたような風格を漂わせていた龍仁に、友人というよりも「師」としての尊敬の念を抱いていた。
京介は最近、お笑い系のバラエティー番組にスプーン曲げのゲストとして出ている龍仁を見て思った。
『こんなスプーン曲げなんかくだらない・・・』
少なくとも京介から見れば、龍仁のスプーン曲げは正真正銘の超能力であった。それだけにマジックのような人を楽しませる劇的な曲がり方はしない。ほんの申し訳ない程度にしか曲がらない。だがマジックではない。見方によってはすごいことなのだが、ただの受けねらいの番組では、本物かどうかなどということは二の次だった。
なのに龍仁は本物であると主張する。それは滑稽ですらある。京介はそんな龍仁を見ていて歯がゆい思いだった。
『龍さんならスプーンどころかその気になればもっとすごいところを見せられるのに、なぜ見せないんだ?』

