「円心殿。貴殿は良くやっておるよ。行の成果はもう十分に出ておる。さすがわしが見込んだだけのことはあるわい。はっ、はっ、はっ。」

 慰めにしては確信のある無雲の言葉に円心はとまどった。

「いや、そう言っていただくのはありがたいのですが、私には何かが欠けているような気がするのです。」

「うむ。欠けているといえば欠けておる。欠けていないといえば欠けておらぬ。それがわかっただけでも成果があったと申しておるのじゃよ。」