行は二十一日間におよんだ。一日のうち滝にうたれる行が四時間、護摩炊きが四時間、残りは睡眠と食事以外はひたすら座禅に費やされる。
円心はあと一歩で心の眼が開きそうになるのを感じた。心の眼の向こうに見える何かが自分に何かを語りかけようとしていた。それは暗闇の中の一筋の光のようだった。そしてもっと見開こうとするが、力めば力むほど意に反して眼は閉じてしまう。それはあたかも夢の中でこれは夢であると気づいて、空を飛ぶのに似ている。夢だと気づかなければ簡単に空を飛んでいるのに、夢だと知ったとたん飛べなくなってしまう。飛ぼうと意識すればするほど、地面にはいつくばってもがいてしまう。円心は、あの心眼が開きそうになった晩から一歩も先へ進んでいないのをいらだった。
『あと一歩のところで見られないのはどうしてだろう。私には一体何が足らないというのだろう。』
円心はあと一歩で心の眼が開きそうになるのを感じた。心の眼の向こうに見える何かが自分に何かを語りかけようとしていた。それは暗闇の中の一筋の光のようだった。そしてもっと見開こうとするが、力めば力むほど意に反して眼は閉じてしまう。それはあたかも夢の中でこれは夢であると気づいて、空を飛ぶのに似ている。夢だと気づかなければ簡単に空を飛んでいるのに、夢だと知ったとたん飛べなくなってしまう。飛ぼうと意識すればするほど、地面にはいつくばってもがいてしまう。円心は、あの心眼が開きそうになった晩から一歩も先へ進んでいないのをいらだった。
『あと一歩のところで見られないのはどうしてだろう。私には一体何が足らないというのだろう。』

