自分探しの旅

 やがてリポーターは一件の古い旅館に到着する。
「今、旅館『一休庵』にやって来ました。言い伝えによりますとあのとんちでおなじみの『一休さん』が立ち寄ったというお寺がこのあたりにあったそうです。それがこの旅館の名前の由来で・・・」

「まちがいない!昨日と同じものを見ている・・・」

 京介は、酒は好きだがさして強くはない。二本目のアルミ缶を飲みだした頃には、もう心臓がドクドクなっている。だが、今起こっていることを目の前にして、自分でも酔いが醒めていくのがわかる。身にせまった危険に立ち向かうネズミのような防衛本能が頭を冴えさせるのかもしれない。

「再放送?」

よく見るこの番組が生放送であることぐらいわかっている。

「そんなはずはないだろう・・・」

 京介は、自分は徹底した合理主義者であると思っている。その合理的な頭は、「自分は同じ体験を二度している」という結論に達するのを拒んでいた。初めての体験なのに

「これは前に一度経験したことがある」と思ったり、初めて来たところなのに「ここは前に一度来たことがある」といったデジャブー的な現象なら、まだ理屈のつけようがいくらでもある。でも、夢ではなく「全く同じ体験を二度する」などということはかつて聞いたこともない。

「そうすると・・・」