午前零時を少しまわった頃、いつもの生放送の番組が始まる。若者向けのその番組は深夜族ならよく見る気晴らし番組だった。やがてユーミンの軽快なBGMにのって、テレビのリポーターが琵琶湖の畔を旅する。京介にとっては特に関心があるわけでないどうでもいいようなことだった。ただ、ユーミンの曲が懐かしくて覚えていたにすぎなかった。その時だった。

「え?」

トランプを運ぶマウスの手が止まった。何が起きているのか理解するのにしばらく時間がかかった。

「これって・・・」

急いでテレビの画面をクリックして画面いっぱいに広げてみる。琵琶湖付近のどこかのバス停でバスを降りるリポーター。バス停から琵琶湖沿いにアスファルトの道を歩く。ユーミンの曲は次の曲に入っている。京介は誰もいない部屋で思わず声をあげた。

「これって、昨日見たのと全く同じだ!」