やがて料理が運ばれてきた。京介は空腹だったはずだが料理の味がしない。ただ胃袋に押し込めるようにして食べていた。料理を口に運びながらも、円卓のテーブルの料理の横に置かれた円心の絵がこちらをにらんでいる。絵は京介に語りかける。

『今まで隠していていてごめん。実は私が君だったんだ。』
 
 京介は記憶喪失の患者のように、忘れていた過去をたぐり寄せようとする。だが前世の記憶などというものは、心の中のどこを探してもかけらもなかった