二人が向かった中華料理屋はそこから歩いて十分とかからなかった。歩きながらもお互いの近況や骨董のことなどを語り合ったが、龍仁は、京介がなぜ会いに来たのかいっこうに聞こうとしない。店内は少し込んでいたが運良くすぐに座ることができた。京介は料理が運ばれてくる前に話を切り出した。

「龍さん。気が変になったと思わないで聞いてくださいよ。実は・・・」

 京介は、先日同じテレビ番組を二日続けてみたことを詳細に話し始めた。龍仁はたばこを片手に、終始うなずきながら聞いていた。京介が話し終わると、龍仁は宙を一点凝視したまま言った。

「京介、紙とペン持ってるか。」
 
 京介は例の一件があって、念のため色紙とサインペンは用意していた。龍仁は黙ってそれを受け取ると何かを描き出した。