そんな京介が七福神を、しかも一つだけ所望したのには理由があった。先ほどからどうにも気になる大黒天があったからだ。木彫りの黒いそれは、かなり古ぼけていて、かすかに笑っているようにも見える。手のひらに乗るくらいの小さいサイズだった。周りに並んでいるたくさんの立派な七福神に比べても一段と見劣りしそうだった。でも自分でもどうしてだかわからないが、どうも気になる。もらってくれと言っているような気がする。
「あそこにあるのを頂いてもいいですか?」
「ああ、これね。これは岐阜県の農家が出所と聞いているよ。おそらく室町時代の物だろう。」
龍仁はそう言いながらそれをひょいとつかむと、傍らにあったビニール袋に突っ込んで京介に手渡した。
「あそこにあるのを頂いてもいいですか?」
「ああ、これね。これは岐阜県の農家が出所と聞いているよ。おそらく室町時代の物だろう。」
龍仁はそう言いながらそれをひょいとつかむと、傍らにあったビニール袋に突っ込んで京介に手渡した。

