「早く。さっきから電話がなってるわよ。」

 京介は由香里の声に急かされて、ポケットの携帯をとった。

「あっ、京介か。今までどうしてたんだ。」

「龍さん!」

 それは紛れもなく龍仁の声だった。

「龍さんこそどうしてたんです。急に消えてしまって。」

「そうか、やっぱり消えていたのか・・・」

 龍仁は他人事のようにそう言うと何やら考えているふうであった。

「今、阿蘇にいるんです。龍さんが探していたあの小笛、ありました。」

「なに、小笛があったのか・・・わかった。とにかくそこへいてくれ。明日、吉村君と二人でそっちへ行くから。話は行ってからだ。」

 京介は何が何だかわからなかった。

『何かが・・・』

 何かが動き出している。それが何かは今は明らかではないが、運命の歯車が確実に動きだしているのを、京介は感じ取っていた。