「やあ、久しぶりだな京介。」

「お久しぶりです。」
 
龍仁は、雑誌の取材の後だったからか、旧知の友人に会ったからか、いつもよりテンションが上がっているようだった。中国のカンフー映画を連想させる黒っぽい服は妙にマッチしている。

「すごいですね。この珍しい品々は。」

「はは、気に入ってくれたかい。暇を見つけてはあちこち飛びまわって集めてるんだ。」

「もうこれだけ集めれば充分でしょう。」
 
 狭い部屋に圧倒されそうな量だった。

「いや、それがどうしても手に入れたいものがあってね。日本の古い小笛なんだけど。どこにあるのか・・・見つからないんだ。」

 龍仁の澄んだ目は遙か遠くを見ているかのようだった。