京介はあまりにも破天荒な話についていけず、思わず吹き出してしまった。吉村はそんな京介にお構いなしに話を続けた。

「その通りです。ただし刺客を送ったのは、大黒天でも、他の誰かでもない。京介さん、あなた自身なんです。」

　笑いがかき消されてしまった。やがてコーヒーが運ばれてきた。ウェイトレスがコーヒーをテーブルに置く間、沈黙が流れた。沈黙はウェイトレスが去った後もしばし続いた。京介は吉村の言葉の意味をかみしめていた。そして一番考えたくない結論に至った。

「じゃ、ひょっとして・・・僕が心の中で生み出した恐怖心が、連中をこの世に生み出したとでも言うのかい。」

「そうです。」

　吉村はこともなげにそう言うと、ミルクを開けてポトンとカップの上に落とすと、コーヒーを一口、口に運んだ。

『そんなバカな・・・』