「大黒天は不老不死の秘薬を授けてくれると言われていますが、不老不死って何だと思います?」

「・・・」

「生まれ変わりを実感できるということなんです。人は生まれ変わる存在だとわかれば、老いも死もそこにはない。在るのは魂の存在だけになる。実感の仕方は様々です。前世を体験することもあれば、前世の自分と話をすることもできる。」

「一つの体験を二度したような気分にもなるわけか。」

「ええ、そうです。」

「それはいいとして、何で僕は怪しい連中から追われなきゃいけないんだ。」

「大黒天と交わした契約書にこう書かれているんです。『秘薬を授ける代わりに、おそれを抱いたりだまそうとする心があれば破滅させる』とね。」

 京介にしてみれば、大黒天との契約などまるで身に覚えのないことだった。しかし円心は、間違いなく真の世界を知るために契約をしていた。

「それじゃ、あいつらは大黒天がこの世に送り込んだ刺客というわけか。ふははは。」