二十四時間営業のその店は深夜だというのに結構混んでいた。テーブルにつくと京介は、興奮を抑えきれずにいきなりまくし立てた。

「一体全体どうなってるんだ。なにが起こってるんだ。おい、教えてくれ。」

　京介は当然、この吉村と名乗る男のことは初対面でなにも知らない。なのにどうやら吉村は、京介の周りに起きていることを知っているらしい。京介はそのことにいらだちを覚えた。

「まぁ、気持ちはわかりますが、そうせかさないで。順にお話ししますから。」

　吉村はいたって落ち着いていた。ウェイトレスが水とメニューを持ってきた。彼女はちょっと立ち止まって京介と吉村の顔を見比べたようだった。さっきは車の中だったからはっきりと確認できたわけではなかったが、あらためて吉村を見ると、年が若干若く見えるだけで自分とそっくりだと京介は思った。他人から見れば、とてもよく似た兄弟に見えるに違いない。