階段を下りるとそこには黒いレガシーがとまっていた。車は夜の国道を走り出した。京介がまず切り出した。

「そのサングラスとマスクをとってもらおうか。それとも顔を見られるとまずいことでもあるのか。」

「いいでしょう。でも見て驚かないで下さいよ。と言っても驚くでしょうけど。」

　吉村は車を運転しながら、左手で白いマスクと黒いサングラスをとった。

「あああぁ！」

　京介は対向車のヘッドライトに照らされる吉村の顔を見て、思わず声をあげた。自分とそっくりなのである。京介はテレビか何かで、「世の中には自分と似た人間が五人いる」と誰かが言っていたのを思い出した。この吉村という人物は確実にその一人に違いない。

「実は私は以前からあなたの存在は知っていたんです。今夜こうしてお会いできるのを楽しみにしてました。」

　吉村はそう言うと、車のウィンカーを左に出して、ファミリーレストランの駐車場へと入った。