「やっぱりだ!」

 思ったとおりそこには「円心」の文字が刻まれていた。紛れもなく今手にしている大黒天は、数百年前、円心だったときの自分が彫ったものだった。

 その時の京介の感情をどう表現したらよいのか。自分が探し求めていた真実にやっとの事で出会えたような、不思議な感覚が心の奥深くから押し寄せてきた。大黒天を見つめる目は涙にくれた。京介はあふれる涙をどうすることもできなかった。

『僕は円心なんだ・・・円心なんだ・・・』

 心の中で何度もつぶやく。大黒天は円心の姿をうつしだしていた。円心は京介に向かって語りかける。