「ただ、時間の流れというものは過去・現在・未来というように直線的ではないということだよ。あるのは『今』しかないんだ。京介にとって円心の存在は過去の存在でしかない。まあ、自分の前世だから当然といえば当然だが。しかし理由はともかく円心という自分を呼び覚ました以上、円心は京介でもあるんだ。そこで京介としての自分と円心としての自分が、同時に一つのテレビ番組を見たらどうなるか。二度同じ体験をしているように思ってしまうわけだ。」
「うーん・・・わかったようで、よくわからない。」
「例えて言えば、『今の自分』というのはスロットマシンの出目のようなものなんだ。」
龍仁は飲み干した白っぽいコーヒーのショート缶を横にして、黒い油性マジックを取り出した。そして左手で缶を回しながら、真ん中あたりに一文字ずつ数字を書いていった。一回り書き終えると今度はその缶をスロットのドラムに見立てて、両手でくるくる回し始めた。
「うーん・・・わかったようで、よくわからない。」
「例えて言えば、『今の自分』というのはスロットマシンの出目のようなものなんだ。」
龍仁は飲み干した白っぽいコーヒーのショート缶を横にして、黒い油性マジックを取り出した。そして左手で缶を回しながら、真ん中あたりに一文字ずつ数字を書いていった。一回り書き終えると今度はその缶をスロットのドラムに見立てて、両手でくるくる回し始めた。

