『あの時見た物は、パソコンの画面に向かっていたこの前の自分じゃないか。』

 そうである。円心が無雲たち兄弟の対決のさなか、朦朧とした意識の中で見たものはまさしく京介の体験したものと重なっていた。

「これで、京介が全く同じ番組を二度見るという体験の謎が、解けたことになるな。」

 龍仁は並べていたソファーを元の位置に戻すと、腰かけ、コーヒーを一口飲んだ。

「つまりこういうことですか。」

 京介は龍仁の謎解きを制して、自分の考えを話し始めた。