「じゃあ、今度は私のをお願いします。」

 少しの沈黙をやぶって由香里が言った。

「よし。」

 龍仁はそう言うと、レポート用紙を一枚取り出して描き始めた。人物の頭の部分から描き出したペンは、よどみなく次々と動いていく。

「あっ!」
 
人物の口ひげが現れだした頃、由香里は思わず声を出していた。

「おじいちゃん・・・」
 
そう言ったとき、京介はすべてを察した。