「ありがたく頂戴しときます。」
京介はそう言って、描き終わった紙を四つ折りにしてポケットにしまった。だがその時の京介には、ありがたみなどなかった。
『だからなんだ。』
これが京介の偽らざる気持ちだった。自分は生まれてこの方二十数年間、一度も幽霊を見るなどの霊的体験などしたことがない。確かに超常的な現象を否定するつもりはない。むしろそういうこともあり得ると思っている。この守護霊の絵にしても本当なのかもしれない。いや本当だとしよう。だが、これがいったい何の役に立つというのか。ただのエンターテイメントなだけじゃないか。これならスプーン曲げとさして変わらない。
京介はことの次第を努めて「冷静」に見ようとしていた。人間というものは懐疑的に見ているほうが楽なときが時としてあるものだ。京介の気持ちに気づいてかどうかはわからないが、龍仁は、ただ黙ったままたばこをくゆらせた。
京介はそう言って、描き終わった紙を四つ折りにしてポケットにしまった。だがその時の京介には、ありがたみなどなかった。
『だからなんだ。』
これが京介の偽らざる気持ちだった。自分は生まれてこの方二十数年間、一度も幽霊を見るなどの霊的体験などしたことがない。確かに超常的な現象を否定するつもりはない。むしろそういうこともあり得ると思っている。この守護霊の絵にしても本当なのかもしれない。いや本当だとしよう。だが、これがいったい何の役に立つというのか。ただのエンターテイメントなだけじゃないか。これならスプーン曲げとさして変わらない。
京介はことの次第を努めて「冷静」に見ようとしていた。人間というものは懐疑的に見ているほうが楽なときが時としてあるものだ。京介の気持ちに気づいてかどうかはわからないが、龍仁は、ただ黙ったままたばこをくゆらせた。

