「せめて書ぐらい書かれてはどうです。」

「うむ。だが書く物が無くてはなぁ。」

「ささ、これをお使い下さい。」

 宗純は何から何まで気が利いていた。どこから貰ってきたのか白紙の掛け軸と、借り物の硯箱を円心の前に差し出した。

「さて、何を書こうかのう。」